家具転倒防止グッズを探していると、「震度7対応」「振動試験済み」といった表示が目に入ります。食器棚や本棚のそばで過ごすなら、表示どおり本当に倒れないのか気になるところです。

東京都は、市販の粘着マット式・ストッパー式・ポール式を実物のタンスや食器棚に取り付け、震度6強相当の地震波で商品テストを行っています。そこで見えたのは、表示だけでは性能を判断しにくく、器具を単体で使う場合と、家具の上部と下部で併用する場合で結果が変わり得ることでした。

ここでは東京都の試験条件を省略せずに確認しながら、家具転倒防止グッズをどう選び、どこまで任せればよいのかを整理します。

家具転倒防止グッズを単体で使えば、家具は震度7でも倒れませんか?

「震度7対応」などの表示があっても、家具が必ず倒れないとは限りません。 東京都が2015年に公表した家具転倒防止器具の商品テストでは、震度7相当での効果を期待させる表示のある商品を含め、今回テストした7検体すべてで、震度6強相当の加振時に家具が転倒、または転倒相当と判定されました。

試されたのは、家具の底面に貼る粘着マット式、家具の前下部に挟むストッパー式、家具と天井の間に設置するポール式です。実物のタンスまたは食器棚に各器具を取り付け、兵庫県南部地震で記録された地震波を使って揺らしています。

ただし、この結果を見て「どの転倒防止グッズも効果がない」と考えるのも正確ではありません。試験は特定の大型家具、地震波、床面、設置方法によるもので、東京都も器具全般の効果や優劣を示すものではないと注意書きを付けています。分かるのは、対応震度の表示だけで、自宅の家具が倒れないと判断することはできないということです。

東京都の商品テストでは、器具を組み合わせると結果はどう変わりましたか?

単体で使ったときは家具が倒れた器具を、食器棚の上部と下部で併用したところ、震度6強相当の試験で転倒せず、移動は10cm以下に収まった例がありました。 上部にはポール式、下部には家具の前下部に挟むストッパー式が使われています。

結果を並べると、違いが見えやすくなります。

試験方法震度6強相当での結果
粘着マット式・ストッパー式・ポール式をそれぞれ単体で使用今回の7検体すべてで転倒または転倒相当
食器棚の上部にポール式、下部にストッパー式を併用転倒せず、移動は10cm以下

組み合わせた試験でも、下部器具に若干のずれがあり、上部器具の一部は破損しています。そのため、「組み合わせればどんな地震でも無傷」とは読めません。それでも、家具の上だけ、または下だけを押さえるより、上下から対策する意味を考える材料になります。

自宅の家具で同じ結果になるとは限りません。一方、東京消防庁の家庭用家具対策では、ネジで固定できない場合に、ポール式とストッパー式、またはポール式と粘着マット式を組み合わせる方法が案内されています。

東京都の商品テストで、粘着マット式・ストッパー式・ポール式を単体で使用した7検体は震度6強相当で転倒または転倒相当となった一方、食器棚の上部にポール式、下部にストッパー式を併用した場合は転倒せず移動が10cm以下だった比較図。出典:東京都「家具転倒防止器具の商品テスト」

家具転倒防止グッズは、どの順番で選べばよいですか?

まず家具を壁の下地にネジで固定できるか確認し、難しい場合に上部と下部を別の器具で支える方法を検討します。 東京消防庁は、壁にネジで固定するL型金具などを効果の高い方法として案内しています。賃貸住宅であることや家具の構造上の理由からネジ止めできないときは、一種類の器具に任せず、設置条件の異なる器具を組み合わせる方法も候補になります。

選ぶ順番は、次のように整理できます。

  1. 家具が倒れる方向に寝床や出入口がないか確認する
  2. 壁の下地にネジで固定できるか、管理会社や施工に詳しい人へ確認する
  3. ネジ止めが難しければ、家具上部にポール式器具を取り付けるすき間の寸法を測る
  4. 家具前下部に挟むストッパー式、または家具底面に貼る粘着マット式を併用できるか確認する
  5. 家具の扉やガラス、上に載せた家電も別に対策する

今回確認した楽天の商品情報では、東京都の組み合わせ試験を再現できる家具前下部用のストッパー式商品、家具底面用の粘着マット式商品、家具用のL型金具は確認できませんでした。別方式の商品を同じものとして掲載すると試験結果を誤って当てはめることになるため、該当する器具の商品カードは掲載していません。

下部用器具を別に探す場合は、「ストッパー」という商品名だけで決めず、商品説明に家具の前下部にくさび状の器具を挟む方式、または家具の底面と床面を密着させる方式と明記されているかを確認してください。

ポール式の家具転倒防止グッズは、何を確認して選べばよいですか?

家具の上面から天井までの実測値が、商品の取付範囲に収まることを最初に確認します。 天井高ではなく、実際にポールを設置する位置のすき間を左右それぞれ測ります。天井や家具の天板に強度上の不安がある場合は、寸法が合っていても自己判断で取り付けないほうが安全です。

HEIAN SHINDO 家具転倒防止突っ張り棒

ショップ:平安伸銅工業オンラインショップ

4.5(51件のレビュー)
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家具と天井の距離に合わせて、22〜27cm、27〜35cm、35〜50cm、50〜75cm、65〜100cmの5サイズから選べる2本組のポール式器具です。商品説明では、ネジやクギを使わずに取り付ける構造とされています。

東京都の商品テストで使われた検体と同一商品であることは確認できないため、試験結果をこの商品固有の性能として読み替えることはできません。購入前に、設置する家具と天井の状態、取付範囲を商品説明と照らし合わせてください。

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対応範囲の境目では、取り付けられるかどうかだけで選ばないことも大切です。この商品の説明では、二つのサイズが使える場合、最小取付サイズが大きいほうを推奨しています。例えばすき間が50cmなら、35〜50cm用と50〜75cm用の両方が範囲に入りますが、50〜75cm用を選ぶという案内です。

ポール式を取り付けた後も、それだけで対策を終えず、緩みやずれがないか定期的に確認します。模様替えや家具の移動後は、すき間や設置位置も測り直してください。

粘着ベルト式は、東京都が試した下部ストッパー式と同じですか?

同じ方式ではありません。 東京都が組み合わせ試験で使った下部器具は、家具の前下部に、くさび状の器具を挟むストッパー式です。壁と家具を粘着プレートとベルトでつなぐ商品とは、取り付け位置も支え方も異なります。

不動王 ベルトストッパー FFT-015

ショップ:ライフマルシェ

4.3(27件のレビュー)
¥3,880 税込・2026年8月時点の価格

壁と家具に粘着プレートを取り付け、ゴムベルトでつなぐ方式の商品です。家具や冷蔵庫への使用が商品説明に記載されています。

東京都の商品テストでポール式と併用された、家具前下部のストッパー式ではありません。そのため、東京都の組み合わせ試験と同じ結果を期待できる商品としては紹介していません。天井との間にポールを設置しにくく、壁面と家具をつなぐ別方式を検討するときの候補です。

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粘着ベルト式を選ぶときは、壁紙との相性を先に確認します。この商品の説明には、紙壁紙、表面がやわらかく剥がれやすい壁紙、コルク壁紙など、取り付けできない壁面の例があります。賃貸住宅では、貼り付けられるかだけでなく、剥がす際の原状回復の扱いも、管理会社に確認しておくと判断しやすくなります。

商品説明に試験結果や対応震度が記載されていても、その条件が自宅の家具、壁面、取り付け方と同じとは限りません。東京都の商品テストとメーカー・販売店の試験は、別のものとして結果を確認し、異なる方式の結果をそのまま当てはめないことが大切です。

家具転倒防止グッズを買う前に、部屋の何を確認すればよいですか?

最初に確認したいのは商品ではなく、家具が倒れた先に人や避難経路がないかです。 器具で固定しても、地震の大きさ、家具の形状、床面の状態などの条件によっては移動や転倒が起こる可能性があります。寝床、いつも座る場所、部屋の出入口へ倒れ込む家具は、向きや位置を変えられないか先に検討します。

購入前には、少なくとも次の点を確認してください。

  • 家具の高さ・幅・奥行きと、家具上面から天井までの距離
  • 家具の天板、天井、壁、床に器具を取り付けられるか
  • 壁に固定する場合、器具を留められる下地があるか
  • 家具の前下部にストッパーを差し込めるか
  • 家具の扉が開いたり、収納物が飛び出したりしないか
  • 家具が倒れたとき、寝床や出入口をふさがないか
  • 取り付け後に点検や締め直しができる位置か

食器棚では、本体が倒れなくても扉が開き、食器や割れたガラスが飛び出すことがあります。東京消防庁も、扉開放防止器具やガラス飛散防止フィルムなど、本体固定とは別の対策を案内しています。家具を固定しただけで室内全体の危険がなくなるわけではありません。

家具転倒防止グッズを買う前に確認する項目を示す図。家具の寸法と家具上面から天井までの距離、天板・天井・壁・床への取付可否、壁の下地、前下部にストッパーを差し込めるか、扉や収納物、倒れた先の寝床・出入口、取り付け後の点検位置を確認する

「震度7対応」の表示は、購入時にどう読めばよいですか?

対応震度は商品を絞る手がかりにはなりますが、自宅での転倒防止を保証する数字としては読めません。 東京都の商品テストでは、震度7相当での効果を期待させる表示のある検体でも、震度6強相当の試験で転倒した例がありました。一方で、明確な震度表示がない検体の一部は、震度6弱相当の試験で転倒せず、移動にとどまっています。

表示を比べるときは、震度の数字だけでなく、次の条件まで確認します。

  • どの種類・大きさ・重さの家具で試験したか
  • 家具の中に物を入れた状態か
  • どのような床・壁・天井に取り付けたか
  • 器具を単体で使ったか、組み合わせたか
  • 試験後に器具のずれや破損がなかったか
  • 自宅で取扱説明書どおりに設置できるか

条件が書かれていなければ、数字だけを見て自宅でも同じ結果になるとは判断できません。家具転倒防止グッズは、「一つ買えば完了」と考えるより、家具の配置、壁への固定、上下の対策、収納物の飛び出し防止など、複数の対策の一つとして選ぶほうが現実的です。

よくある質問

東京都の商品テストでは、どんな家具を使いましたか?

実物のタンスと食器棚を使っています。公表資料では、タンスは高さ1365mm、食器棚は高さ1800mmで、内容物を含む重さも示されています。ただし、自宅の家具と寸法や材質、重心が同じとは限らないため、試験結果をそのまま当てはめることはできません。

ポール式だけを付けても意味がありませんか?

単体で使う器具に転倒防止効果がないと一律に判断することはできません。ただし、東京都の商品テストでは、ポール式器具を取り付けた家具が震度6強相当で転倒しています。ネジ止めが難しい場合は、東京消防庁が案内するように、家具下部のストッパー式や粘着マット式との併用を検討してください。

ストッパー式と粘着ベルト式は同じものですか?

異なります。ストッパー式は家具の前下部にくさび状の器具を挟む方式です。この記事で掲載した粘着ベルト式は、壁と家具にプレートを貼り、ベルトでつなぐ方式です。東京都の組み合わせ試験の結果を、粘着ベルト式にそのまま当てはめることはできません。

賃貸住宅では、どの方法を選べばよいですか?

壁へのネジ止めが可能か、まず管理会社へ確認してください。難しい場合は、家具と天井の条件に合うポール式と、家具下部に使える器具の組み合わせが候補になります。粘着式は壁紙を傷める可能性があるため、取り付け可能な壁面と退去時の扱いを確認してから選びます。

家具転倒防止グッズを付ければ、家具の配置は変えなくてよいですか?

器具を付けても、家具の移動や転倒の可能性をゼロにはできません。寝床や出入口へ倒れ込む向きなら、配置変更を優先して検討してください。東京都も、器具の使用だけでなく、けがや避難の妨げにならない家具配置を勧めています。

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